広報部: 2009年9月アーカイブ

日本感性工学会

第11回日本感性工学会大会認知ビジネス実践部会セッション

第14回感性認知ビジネス実践部会交流会 議事録

日 時:2009年 9月 9日

14:20~16:20

場 所:芝浦工業大学豊洲キャンパス

日 時:2009年 9月 9日

20:00~21:30

場 所:北の台所 呑斗豊洲 IHIビル店

◆話題提供

◇ビジネス現場の感性インテリジェンス


1.部会長 小阪裕司部会長

?ビジネス現場と感性研究をいかにつなげるか?


2.工学院大学大学院工学研究科 正木圭さん

ケーススタディー:研究側から

?実験を実際にビジネス現場で行うには?


3.(有)シルク 石井康友さん

ケーススタディー:ビジネス現場から

?研究協力における現場および顧客に対する取り組み?

◆信州大学・上條正義教授を招いてのパネルディスカッションならび質疑応答(要約)(上條氏)

・自己紹介

専門は計測全般。人間にまつわる物の使い勝手、見えない物をいかに  定量化し評価するかを行っている。  しかし、いかに定量化するかだけでは現場で使い物にならない。どう伝えるか、伝わるような情報にして、いかに提示していくかが非常に重要である。  そんな中、小阪さん認知ビジネス実践部会の話を聞き、実際にどのように  情報を伝えるのかをやっていて新鮮で目から鱗が落ちる思いがしている。

・2人の発表を聴いて


・2人の発表を聴いて   現場と研究者のコラボレーションにおいてお互いの理解が必要。  この際、使っている言葉を合わせる必要がある。各立場で専門用語など  使う言葉の形容が違うために意志の疎通が行われにくい。  石井さんと正木さんの間では共感、共有、共創があった事が成果を出せた。

・どうデザインして伝えるのか

マスター(石井さん)の話を聞いていて感じたのは「誰が誰に何を伝えるのか」何を伝えるのかのデザインの前に、誰からの情報なのかが非常に重要で、人と人の繋がりをきちんと作ってあることが基本要素として必要だ。

(小阪部会長)

・上條先生の、「共感、共有、共創があった事が成果を出せた」というお話を聞いていて、やはり現場と研究との言語差が課題であることを感じる。

(上條氏)

・研究系とのやりとりでは共通の言語であまり問題はないが、営業系などの方と  の間では、言葉の理解がなく共通のプロトコルが必要になってくる。

(小阪部会長)

・現場と研究との間での共創にはやはり言葉の統一が必要。

・石井さんも言っていたが、何をやりたいのか、したいのかを明確化しておく必要性が大切である。

・上條先生が行った共同研究を申し出た際の販売現場の反応は?

(上条氏)

・情報デザインのリサーチとして、お菓子を売るということをやった。  私が説明を行った時とまったく同じ情報を店主の方が説明した場合、どっちが  美味しく感じて欲しくなるのかを調べた。

・結果は店主さんの方が美味しいという結果が出た。

・情報デザインがきれいに仕上がっていなくてもお客さんの心を動かす要素があるという事が分かった。

(小阪部会長)

・来られている方の中でビジネス現場の方で研究者とジョイントしたいという方はいらっしゃいますか。

(数理システム 小木さん)

・営業を担当していますが、私どものような営業担当とこういった実験をやってくださるとありがたいと思いました。普段からチラシやDMは送っているので小さめの会社で、ちょっと悩んでいる営業担当の方との実験は研究者側にとっては良い実験現場になるのではないだろうか。

(小阪部会長)

・そのような方々は今日の様な話をほとんどご存じないので、何某かの研究者とセールス・マーケティング上の悩みを共有出来るとはおよそ考えたこともないが、それに気付けば良いのではないかというご主旨ですね。

(数理システム 小木さん)

・巡り会う場がない。場があればコラボレーション出来るのではないか。

(小阪部会長)

・今のような意見をどう思われますか。

(石井さん)

・自社の場合、家族経営で出来る規模ですので、実験はすぐに出来る。

・反応率を上げるというのはどこにも理論も鉄則もない。 非常に簡単だが、良ければ続ける、悪ければ変える。そういう物の集約が売り上げにつながる。

・意識的に出来る人とならば研究と結びつく。

(九州大学 坂口氏)

・感性インフォメーションではなく、感性インテリジェンスというのが重要。  今回の大会のテーマを最も体現している発表だったのではないか。

・現場に宿るリアリティーの中にインテリジェンスが立ち上がる。  実験室的な条件で限定された流れの中では、つかみ得ないものだ。

・現場のシーンの中で共に学んで行く事が大切。 研究の方向も多様化する必要性がある。

(小阪部会長)

・今後もビジネスと研究の接点を作っていきたい。

・マーケティング、リレーションシップなど広範囲に人の感性が影響しているので日本感性工学会はこんな事をやっているといろんな方にお話していただきたい。

・長時間に渡りありがとうございました。

(閉会)



議事録担当 虎島秀一

日本感性工学会

第13回感性認知ビジネス実践部会 議事録

日 時:2009年 6月 8日

15:30~18:00

場 所:品川(株)ヴィデェオール・キャリア 東京本社  レンタル会議室

出席者:部会員70名中 16名

1.平成20年度 会計報告

(会計監査)柴山明輝さん

1)総資産1,813,796円

2)経常収入の部 1,305,000円

年会費収入913,000円、会議費収入 218,000円(部会や懇親会参加者から)、活動費収入 174,000円(感性工学会より87名分)

3)経常支出の部 800,124円

会議費398,629円(懇親会費・部会の会場費)、旅費交通費1,520円(事務局スタッフの移動費)、通信費5,630円、賃借料15,750円(プロジェクターなど)、租税公課595円(利子)、事務局費378,000円(事務局員2名、31,500円×12ヶ月)

4)経常収支差額 507,852円

5)前期繰越収支差額 1,305,944円

6)次期繰越収支差額 1,813,796円

7)補足:昨年度23名の会員減少に伴い、減収が見込まれる

8)監査報告






2.ビジネス現場と研究とのコラボレーションについて


1)有限会社 共和堂米澤晋也さんの提案

  • リソース:・新聞販売業として5,000世帯以上の顧客を抱え、チラシなどを配布し、反響を計測することが可能。
  • 辰野町7,000世帯の全世帯にポスティングが可能
  • ・アンケート採取も可能
  • 興味  :・表現の異なるチラシを一斉に配布し、反応率の違いを学術的に究明したい。 形式の違いで反応率が異なる理由は何か(チラシ型よりDM型の方が反応が良い、等)
  • 反応率よりも人がどう感じたか、脳がどう動いているのか、等を知りたい
  • 部会長 :・ビジネス現場のニーズと研究サイドのニーズの合致があると当部会の存在価値が高まる。但し、リソース提供側にニーズがあることが大切。
  • ・(共和堂のこの研究テーマに関しては)バイアスは関係性が出来ていること。
  • ・状況依存的な現場計測データ(実売)と正確な実験手続きを踏んだ計測データ(脳波など)との比較が大切

2)竹ノ内剛さんの提案

  • リソース:・東京都江戸川区で家具店を経営しているが事業の中心ではないので、場所として研究実験の場として提供できる。
  • ・商店街メインストリートではないが一定の人が通行している
  • 部会長 :・収集し得るデータとしてネガティブデータ(あえて売れないケースも設定し、計測する)があるとなおよい。しかし、売れない時期を設けないといけない
  • リスクが伴う。経営者としては最高のパフォーマンスを求めるので矛盾する。
  • ・商売度外視の研究場所として使えるのは貴重
  • ・メーカーは店頭の実売データをなかなか収集できないので、こういう研究の場はありがたい

3)嶋田正邦さんの提案

  • リソース:・検査病院に関係しておりPET/CTやMRI等を提供できる可能性がある
  • 部会長 :・脳科学の研究ではPETも使われている
  • ・価格やスケジュールで相談しやすいと都合が良い。
  • ・この手のデータは、どこで計測したか、誰が解析したかが大切で、そういう意味でのブランドもある

4)桑野一哉さんの提案

  • リソース:・研究に協力できるビジネス現場の情報を部会のサイトで提供してはどうか
  • 部会長 :・ビジネス現場を実験に提供するにはいろいろなリスクも伴うので、提供する側にもニーズやベネフィットが必要。
  • ・部会としては実施すべきか検討事項

5)射場一之さんの提案

  • リソース:・自社主催のタジキスタン音楽のピアノコンサート@高槻現代劇場8/28(金)のコンサート会場で何らかの実験を行うことが可能 700名弱の集客
  • 部会長 :・国立音大で修士、工学院大学で博士号を取られた方で、メロディが人の感性にどう影響を及ぼすかを研究している方がいる。純粋にメロディだけでどう感情に影響を及ぼすかを工学的にデータとって証明している。・感性研究としてはいろいろなフィールドの活用が考えられる。
  • 立川さん:・五線譜に乗らない音で作ったアンビアント系の音楽は人間の別の部分を刺激すると言う。「ディープフォレスト」とか聴くと妙な気分になる。
  • 部会長 :・音が感性をどのように刺激しているかも感性工学の研究領域。
  • ・音楽に関心のある研究者も、作曲できない、演奏できない、などハードルが高いので、研究者にとっては貴重な研究の場

6)シルク石井康友さんの提案

  • リソース:・「森で映画」を7/25(土)に主催( 檜原村の森の中で、武田鉄矢主演「降りていく生き方」上映)
  • ・イベント主旨「子どもの感性を育む」
  • 興味  :・映画を見る前後で子どもの感性がどう変化するかを知りたいので、アンケートとしてデータ収集できないか。来年の上映会への反映、スポンサーへの説明資料になる。
  • 部会長 :・子どもが映画を見た前後でどう変化したかを知りたい研究者からすればまたとない機会。心理学の手法による心理計測も可能。

7)株式会社サンディ立川亜美さんの提案

  • リソース:・舞台「飛行機雲」主催
  • 興味  :・出演者の公演前後の感性の変化
  • 部会長 :・研究者にとっては計測しようにも出来ないシチューエーションなのでまたとない機会





3.大会に向けて

  • (部会長)・幹事内諾のもと、部会として企画セッションに申し込み済み
  • ・例年は主にビジネス現場からの、感性を軸にしたビジネスの実践結果を発表してきた。今年の大会テーマは「感性インテリジェンス」なので「ビジネス現場と研究との有意義なジョイント」を問題提起する場にし、会場からも意見をもらいたい。
  • ・2事例くらいの報告とパネルディスカッション、パネラーには感性計測の研究者の上条正義先生(信州大学)らに打診済み。→部会参加者賛成
  • ・石井さんに正木さんとの共同研究を石井さんサイドから語って欲しい。研究サイドからの依頼に対し、ビジネスサイドとしてはどんな課題があったか、どんな配慮があったかを語って欲しい。
  • ・上条先生は長野で感性産業研究会を主催し、地元企業に研究参加を依頼したが断られたというう経験があるので、ビジネスサイドが参加できる目論みや狙いが分かると意義がある。
  • ・発表者をさらに1名募集 ・・・ 田中副部会長に打診
  • (石井さん)・どう言う目論見があって、アンケート回収にどう言う工夫をしたかなどを話せる。書体について、DM梱包物の入れ方、正木さんが挨拶状用に描いてきた自画像(暗い顔)に合わせてキャッチコピーを「困っています」に変更した件など。
  • (部会長)・感性工学の研究ジャンルにも「研究方法の研究」と言うジャンルがあり、石井さんのこのケースはそれに該当する。感性マーケティングに精通しているからこそ考えられること。
  • ・石井さんの実売の発表に関心をもった研究者が参考となる意見を聞きに来るかもしれない。皆さんのレベルでポロポロっと言う仮説が研究者には刺激になり、有意義な接点となる。
  • (副部会長)・研究の母数はどのくらい必要なのか?
  • (部会長)・皆さんからすると奇異かも知れないが、科学の世界ではあまり母数は問われない。
  • 実験の設計や実施がいかに科学的か、と言うことが重要。統計の世界は母数を気にするが、科学の世界では、母数が10や20でも良い場合もある。
  • (副部会長)・日程は9月8?10日、企画セッションの要望は9日で出しているので、その晩に部会の予定。





4. その他、最近の活動報告と提案、新たな知見

  • (部会長)・大阪で開催された日本感性工学会春期大会は同規模の学会に比して活況を呈した。しかし、活況を呈している割に企業の参加が少ないので、ビジネス関係の人に9月の学会の案内を行いたい。部会の貢献としてビジネスの情報ネットワーク網に多少のお金を掛けても乗せて行くべきではないかと思う。
  • ・情報処理学会などはソフト・ハード関わらず、大手企業が多く参加している。感性工学も非常にビジネスと関連深い学問であるけれど、知られていない為に参加者が少ない。
  • ・例えば茂木健一郎さんのベストセラー「化粧する脳」はカネボウの研究。茂木先生がコーディネートされているので脳科学と言う見え方になっているが、カネボウの感性工学チームが取り組んでいる研究。茂木さんが新書としてアウトプットするだけでブレイクする。なのに、感性工学はまだPRするのが下手。
  • ・最近参加した学会「日本ヒト脳機能マッピング学会」。脳のどこがどう使われているかという情報が満載の学会。アメリカで知り合った先生に面白い学会だと紹介を受け、参加した。

(学会で見聞したこと、所感など)

次回開催は、9月9日(水曜日)の予定

議事録作成者 嶋田正邦

写真 広報 桑野一哉

第12回感性認知ビジネス実践部会を開催

日本感性工学会



第12回感性認知ビジネス実践部会 議事録



日 時:2009年 3月 3日


15:30~18:00


(株)ヴィデェオール・キャリア東京本社 レンタル会議室


出席者:部会員70名中18名




■1部会長挨拶
1)今回でこの部会も12回を迎えることとなった。会を立ち上げて3年が経過する。

  先日、日本感性工学会事務局より各部会の活動状況の調査があったが、この会は、継続的かつ実質的な活動を活発に行っていると思う。



2)ここで活動のステージを上げて行こうと考えている。

  われわれ現場の実践者たちと他部会や大学の研究者とをジョイントし、お互いに研究活動を発展させていけたらと思っている。



3)その発展方向へのヒントとなる実験が昨年暮れに行われた。当部会員・有限会社シルク・石井康友氏の協力によって、感性工学の研究者・工学院大学大学院・情報学修士の正木圭さんとの具体的なジョイントである。今部会ではまず、その発表を聞いてみたいと思う。




■2ビジネス現場と研究とのジョイント

1)ケーススタディ:当部会員・有限会社シルク・石井康友氏と工学院大学大学院・情報学修士課程の正木圭さんとのジョイント



『消費者の意思決定プロセスのモデル』 正木圭さん

・情報を提示した場合、購入(登録)にいたるまでのブラックボックスを解明したい。

・情報→提案→A日常生活→B商品の評価→X商品の購入 A~Xの3つが 3層意思決定プロセス



・石井さんとのジョイント研究では、石井さんに 味噌 梅干しを販売してもらい、そのときの、情報提示から購入に至るまでのプロセスを解明するために、アンケートを実施した。購入者の中から100名を選び、商品と一緒にアンケートを発送した。


・回答は40例あった。それをもとにデータを分析、結果を検討したところ、以下のことがわかった。


・アンケートを解析すると、購買の要因として重要と考えられるのは、商品の使うシーンの情報と、石井さんとの信頼関係であることが判明した。



・その「信頼関係」とは、クリーニング店主としての石井さんとの人間関係である。

 ●クリーニングの腕の良さ  ●クレームゼロ件 ●過去の経験

 ●クリーング店とのやりとり ●人間関係の強さ ●マスターとよばれる人柄


・アンケートでの言葉を専門的に解析して つぎの4つのプロセスがあることがわかった。

 A日常生活 → B態度 → C商品の評価 → X商品の購入
      4要因意思決定プロセス 

 前期の 3要因に "態度"というものが加わった。

・態度とは、自身の経験。知識を基にした反応の傾向。例えば"好き"と"嫌い"など。






2)ディスカッション:(先ほどのビジネス現場とのジョイント研究結果発表も踏まえて)本部会の発展の方向と内容について


<部会について>

(副部会長)

・部会に来られない人にも活動に触れられるよう、画像や映像をホームページに張り付けて、見られるようにしたい。


(部会長)

・それだけでなく、リアルな場にも自主的に来て、活動に触れてももらいたい。






<今後について>


(部会長)

・石井さんと正木くんのように、ビジネスの現場と研究を結びつけられるのではないか。


(虎島さん)

・実験したい気はある。ビジネスの経験値だけではなく、こうした研究を通じてデータがとれてまとまるなら欲しい。


(塩島さん)

・たとえば顧客に対して働きかけて(美容院であるにもかかわらず)半年かけて"りんご"がよく売れた。(自分が)りんごを知らないところから勉強をして、感性を高めて売ったけれども、どうして売れたのか、その原因を知りたい。


(玉井さん)

・(先ほどのジョイント研究について)石井さんの信頼。ブランドの知名度。価格など、石井さんはどのように分析しますか?


(石井さん)

・この商品はネットで買えるかもしれない。お客さんは、誰から買うかを選んでいるのではないか? 窓口は"シルク"になった。そこで価格は問題とはならなかった。


・ジョイントするなら、実験に徹することができるので、売れなくても損のないもので行う方がいい。ジョイントすることで、自分の腕が上がる。アンケートも工夫する。


 売り切るためにはなにをすればいいか、たとえば予約の方法など、考えるようになる。


・チャレンジすると、いいトレーニングになる。


(玉井さん)

・石井さんのジャンボはがきについて。文(お客さんの購買行動に影響を与えるため書かれた文章)についてどう考えているのか?


(石井さん)

・まず、どこから見るかを考える。注文まで、どういう流れになっているかを考える。


・キャッチ。印象残る配置。おちゃめさ。おもて面は文章を少なくして裏面へひっぱり


 "なぜ売るのか?"を伝え、注文までの流れを作る。


(部会長)

・研究者とのジョイントをより積極的に展開していきましょうか?


・教授クラスではなく、学部生・大学院生とのジョイントを実施してもいい。


・たとえば「しゃぶしゃぶレストランで、○○○は?の研究」など。


・今回の石井さんと正木くんのジョイントでは、非常に面白い可能性が見えた。


 大学院生の修士論文のテーマとジョイントして、研究データを取るための現場を協力してみるのもいいかもしれない。


(玉井さん)

・(自社のビジネス内容の観点から)展示会やセミナーなどについて、対費用効果などをクライアントにどうやって見せればいいのか?などに関心がある。


・集客ビジネスついて、費用対効果は査定できるだろうか?


(米澤さん)

・こういった実験について、いつもやりたいと思っているが、実際はやっていない。


・セールスレターを作ったとき、手直しすればするほど、お客さんの感性に響かないことがある。作りたてのセールスレターと手直しセールスレターとの比較データが欲しい。


・卒論くらいの研究ジョイントなら、やってもいいと思う。


(部会長)

・では、分析してほしいテーマを並べてみて事務局へ送ってほしい。


(虎島さん)

・語感について試したい。「ありがとう」と「感謝」では、相手の感じ方がちがう。


 訓読みはアナログで距離感が近くなるが、音読みはデジタルなので硬くなってしまう。こういった、研究ができるのならやってもらいたい。


(部会長)

・具体的にやりたいことがあったら、大学に投げかけてみることもできる。


・まずは部会内の討議内容として、なんでもありで、10個くらい思いついたもの出してみたらどうか?


 困っていること、気になっていることなどを出してほしい。


(石井さん)

・今回のジョイントを機に欲が出てきた。梅干・味噌の販売を通じて顧客との信頼関係が見えてきた。そこでもうひとつ試したくなったものがある。それがどこまで再現性があるのか?ということである。


・夏限定の味噌。半年も前から予約が始まっている。こんなことをやっていると、そういう商材が集まってくるし、商売のフィールドの幅も広がる。


(部会長)

・自分なりに検証してみてほしい。そして"仮説・検証"の癖をつけてほしい。


 なぜならビジネスは、仮設・検証しかないからだ。


(副部会長)

・来週中に、事務局あてにテーマをメールで送る取り決めにする。






3. 幹事会における検討事項と報告



    (部会長)

    ・部会費について、現在12,000円だが、このままこの会費を継続したい。→賛成

    ・現在使っている費用は、事務局代 と 部会会場費である。

    ・今後は他部会や大学院生とのジョイント研究にかかる経費や、話を聴くためにお招きする先生方などの交通費や講師料にあてたいとも考えている。

    ・来られない人にも情報をサイト等で、提供していきたいと思う。

    ・その他、部会費支出の例。●食事交えての会議 ●部会の合宿 ●発表者への交通費





4. 次回について

    次回開催は、6月8日(月曜日)(株)ヴィデェオール・キャリア東京本社レンタル会議室












『消費者の意思決定プロセスのモデル』 正木圭さん






正木圭さん






ディスカッションの様子






交流会






写真 広報 桑野一哉



第11回感性認知ビジネス実践部会を開催

日本感性工学会
第11回感性認知ビジネス実践部会 議事録



日 時:2008年12月 8日 15:30~18:00
場 所:東京国際フォーラム G棟508会議室 出席者:部会員70名中12名 





1.部会長からの報告



 1)日本感性工学会の近況


  ・日本感性工学会大会が9月に開催されたが、過去最高の発表件数であった。

ただし、学会員数は伸び悩んでいるため、このままだと現在くらいの規模でまとまってしまう可能性もある。そこで是非とも主旨の合うご友人を誘って頂きたい。



また今後は当部会からの発表も増やしていきたい。



  ・まもなく台湾の感性工学会が立ち上がるが、このようにアジアの関心は高い。また2010年には、日本主催の大会をヨーロッパで行う予定となっている。






 2)Society for Neuroscience2008の報告



  ・およそ35,000人が参加する大会であり、日本からは茂木健一郎さんも参加していた。脳科学は学問の集約的ポイントとなっている。



日本では脳科学と他の学問が分断されている感があるが、海外ではそうではなく、さまざまな学問と密接に関連しているようである。



・そのような中、部会長は「認知と行動」のテーマ中の「ディシジョン・メイキング(意思決定)」の中の「ニューロ・エコノミクス(神経経済学)」のセッションで発表を行ったが、エコノミストの研究発表はほとんどなく、理論のモデル化と、実際のビジネス現場実験における人の行動データがあることにより、高い関心を得ることが出来た。



・ディシジョン・メイキングという分野は今、非常に関心が高まっている


・ニューロ・エコノミクスセッションの日本からの発表者は、部会長と京都大学を中心とした研究チーム(値決め時に脳で何が起こっているのか、をfMRIで見ていく、というような研究)の2件であった。



・AではなくBを選んだ場合、脳のどこが活性化しているか、ということを見ることができる方法も出てきている(例:fMRI)



・所感としては、人間の感性に着目してビジネスを考えていくことは、決して横道にそれているわけではなく、今後主流になっていく、ということである。



それから、感性工学と脳科学はかなり密接しているので、部会員も今後は着目しておかれると良いと感じた。



 ・次年度もシカゴで開催されるが、参加する予定である。










2.ディスカッション:感性から見て、今、本当に不況なのか?



1)ディスカッション



・田中副部会長:当社のクライアントの動物病院の売上は下がっているようであるが、弊社の売上は伸び悩んでいるものの下がってはいない。



その理由として、お客さんとの関係性構築を大切にしているからだと考えている。これは雑談と関係性が比例する、という仮説のもとに行っている。この不況下においては、同業他社が元気がなくなってくるのに対し、弊社は方向性が見えているため、他に選択肢がないことがプラスに寄与しているようである。




 ・村松:雑談が出来ることにより、客数はアップする。さらに相手の困っていることを引っ張り出せる雑談をすることで、客単価アップにもつながるのではないか、と感じる。



 ・立川さん:雑談の効果として、第一に不安を言い出しやすくなることがある。そして次に、相手の変化を起こさせるかどうか、というところにあるのではないかと思った。



 ・田中副部会長:訊く、質問、聴く、で成約率は上がるが、コミュニケーションのステップで進めていくと、ある段階で突然ブレイクし、売り込んで欲しい、というムードに変わることがある。



・立川さん:最初から突っ込んだ質問をするのでなく、様子を見ているうちは待ってあげる。



・柴山さん:こういう不況下の中で、これまでの話がより強調されていく、ということではないだろうか。



・小阪部会長:柴山さんの業界(防犯)としては不況の影響はどうでしょう?



・柴山さん:これまでは「儲かるから」という理由でセミナーに来ていた住宅屋さんが、こうなると経費節約のために来なくなる。逆にやる気のある人は差別化の突破口だと来続ける。



・田中副部会長:ワクワク系は儲かる、という視点で見るとカッタルくなるのではないか。



・柴山さん:ブログを書き続けている建築屋さんの例であるが、知らないうちにお客さんが見てくれていて先の田中部会長のステップがアップする、ということがある。



・亀田さん:現在は不況だと思う。必要の無いものは絞っていく、という状態なので、私の所属するオートバイ業界も大変である。ただ私のところは伸び悩んではいるものの、そこまでの状況にはなっていない。



・小阪部会長:買い控えるものの上位ランキングとしては、男性は車・バイク、女性は外食だとの最新の調査結果がある。しかし、高級キャンピングカーを売っているワクワク系の会員さんのところの売上高は落ちていないそうである。



・田中副部会長:ホノルルマラソンの参加者は業績が苦しいにも関わらず、増えている。ということは「不況でも需要は作れる」ということが言えるのではないだろうか。



・大村さん:BtoBで、関係性が作れない企業が苦戦しているのだということが分かった。



・小阪部会長:太田区の町工場の事情を聞くと、昨対比10分の1という大変な状況になっているところもある。たとえば受身で発注を待っていたようなマーケティングをやらなくても売上が上がっていた会社や、マーケティングがあまり通用しない産業構造の中で仕事をしている会社がここで打撃を受けている、という風にも考えられる。



・柴山さん:市場が縮小していく場合(たとえば炭鉱)、関係性を築いていても苦しくなる、という側面もある。



・渥美さん:確かにBtoBだと関係作りは難しいかもしれないが、社内のスタッフ同士の関係性を作っていくことで乗り切っていく、という考え方もありではないだろうか。つまり、社員の感性が試される時ではないかと思う。



・柴山さん:現場の人がやれるだけではなく、トップと社員が感性がそろっていなければ、無理が出てくると考えられる。



・田中副部会長:会社の文化をいかに創っていくか、がテーマといえる。これが出来ているところが不況ではない、といって良いのではないか、と思う。弊社でも先のステップなどを社員が勉強して自ら発案するようになってきた。そのキッカケは社員に任せたことである。









 2)まとめ



・小阪部会長:今回のようなディスカッションを濃縮することで、大会での発表材料にもなり得るのではないか。



こうしたディスカッションはこの部会ならではのものなので、たとえばシンポジウム形式にして、学術界の方を交えて行うことも視野に入れて良さそうである。



今年は今回が最後であるが、次回以降、他の部会員も参加して欲しいものである。




・田中副部会長:今回のディスカッションを行うことで、自分たちのやっていることの確認ができて有意義だったと感じた。次回は3月頃開催予定である。





議事録作成者 村松 達夫

第10回感性認知ビジネス実践部会を開催


日本感性工学会 感性認知ビジネス実践部会企画セッション・・・23E(2008/9/9 16:00-18:00)



感性工学会の様子


■当部会の企画セッション



「感性価値創造のビジネス現場から‐実践のための感性へのアプローチ‐」
 座長: 小阪裕司(オラクルひと・しくみ研究所)

◆内容
 *消費者の意思決定を左右する感性情報とその相互作用
  小阪裕司(オラクルひと・しくみ研究所)
  椎塚久雄(工学院大学情報学部)

 *レストランにおける感性情報の影響
  小阪裕司(オラクルひと・しくみ研究所)
  大谷珠代(日経BP社日経レストラン編集部)

 *飲食店による感性工学的取り組みが顧客の消費行動を誘導する
  菅原勝美(梅仁)

 *顧客との絆作りとコミュニティ化がビジネスにどういう変化を及ぼすか
  亀田真靖((有)オートプラザカメ)



感性工学会の様子





感性工学会の様子








第10回日本感性工学会企画セッション(23E)報告書



日 時:2008年 9月 9日
16:00~18:00
場 所:大妻女子大学166教室
報告者:成 田 信 一   


◆テーマ
「感性価値創造のビジネス現場から‐実践のための感性へのアプローチ‐」



◆内容

 1.消費者の意思決定を左右する感性情報とその相互作用  小阪裕司




感性工学会の様子










2.飲食店による感性工学的取り組みが顧客の消費行動を誘導する  菅原勝美(梅仁)


コミュニティ作りとエコロジーへの取り組み

グループ化  様々なテーマでグループ分けをしてそのグループだけに特別な情報を送る
誕生日・出席・結婚・出産した人等のグループ・その他の様々なカード類

ニューズレター

塗り箸 マイ箸   割り箸の代わりに江戸木箸(@1680円)
箸を変えた日 満席

BGM効果   梅仁さんは居酒屋さんなので、お店の感じからは以下のような音楽は合わないが
懐かしさ・心地よさを誘発 誰が聞いても邪魔にならない
70年代フォークソング
デキシージャズ
60年代オールディーズ


感性工学会の様子










3.顧客との絆作りとコミュニティ化がビジネスにどういう変化を及ぼすか 亀田真靖((有)オートプラザカメ)


      
レースTシャツを作って応援してもらう
Tシャツが162枚売れた
レースボランティアの募集
ステッカーとメダルで顧客の囲い込み


感性工学会の様子










4.レストランにおける感性情報の影響  大谷珠代(日経BP社日経レストラン編集部)



背景を踏まえた五つの実験
店名からイメージするお店の内装
店名と客層客単価との関係
特徴のある単語・語感に高級感
意味不明な店名は顧客単価より下がる傾向にある

椅子の素材から受ける感性
ビニールレザー  ファミレス
キャンバス  カジュアルレストラン
モケット 不思議な店
木 ファーストフード

笑顔写真がお客に与える影響
客以上にスタッフへの影響が大きい
笑顔写真は購買行動に影響を与える可能性がある

ユニホームから連想されるお店の印象

清潔でおしゃれで美味しいラーメン店
料理にこだわりのあるワインバー
消費者は五感で消費行動をする
レストランは感性産業である

レストランにおける感性情報の影響
従来までのレストラン産業
レストラン=味・料理
新たな着目点
人間関係
お客に喜んでもらう
   人間関係を良くするためには以下の3つを伝える
自己開示度
接触頻度
感性情報


感性工学会の様子
















感性工学会の様子




感性工学会の様子





大会後の打ち上げの様子




感性工学会の様子




感性工学会の様子




感性工学会の様子




感性工学会の様子




感性工学会の様子

第9回感性認知ビジネス実践部会を開催

日本感性工学会
第9回感性認知ビジネス実践部会 議事録

日 時:2008年 5月 14日
15:30~17:30
場 所:品川インターシティA棟
30F 会議室
出席者:部会員75名中14名

1. 部会開始挨拶

   田中副部会長:皆さんご苦労様です。今回で9回目を迎えるとは驚きです。それでは早速本日の部会の進行予定です。会計報告、活動の形と会費の有効な使い方、春季大会での部会長の気づき、秋季大会の話し、最後にBGMの実験報告をフリーディスカッションでというスケジュールで行きます。それでは議題に移ります。

2. 会計報告

柴山明輝会計監査:平成19年度会計報告を柴山会計監査より報告
参加者全員承認。

3. これからの活動の形と会費の有効な使い方に関する提案

小阪部会長: 会計の通り部会には現在130万円の予算がある。これをどう有効に活用するかが課題である。

現時点では、この部会が(小阪が主宰する)ワクワク系マーケティング実践会のメンバーが中心になって部員が集まって出来た経緯から、多くの部会員は純粋な研究者ではない。ただ昨今、顧客ロイヤリティー協会の会長などのように、実践会以外のメンバーも増えてきている。学会の部会である以上、本部会でもケーススタディーを中心にチームで研究を発表していき、予算の有効活用も考えたい。

また新たに始まるKANSEIカフェの取り組みにも、使える予算内で、必要に応じて協賛という形でサポートをしていきたい。そうなった場合、部会員は自由に参加できる条件にする。
その他でも余った予算を有意義に使うため機会やイベントを仕掛けて行きたい。
         参加者全員承認。


3)春季大会(仙台)の報告

小阪部会長: 非常に感性工学会らしい大会だった。

①ナイトセッション テーマ:酒と感性
旅館で蔵元秘蔵の酒『感性』を飲みながらの酒造会社社長の話

②佐藤繊維の社長の特別講演
  ・山形の社員数数十名の繊維会社ですが世界に通じる会社。
  ・インターナショナルとグローバルの違い。
・グローバルになるのに英語は必要ない。どうしてもこの人と仕事がしたい!と世界が認めればグローバルになっていく。
・佐藤繊維のブランド「エムアンドキョウコ」は当初日本では見向きもされなかった。しかしニューヨークでブレイク。その後日本に逆輸入される。
・結局良い商品を作ってもその価値が伝えられないとつぶれてしまう。
・倒産する同業者の機械を買うことで技術を受け取る。
・凄い物を作ってその凄さを伝えることが一番。
・日本の名だたる繊維会社が出展することさえ出来ないヨーロッパの糸の展示会に出展した。
・TVに出演するときも肩書きを『糸作家』としそのために髪型を変えた。
・一流ブランドが使いたくなる糸を作るのが夢だった。その展示会で数社が採用
を決定。また同じような話が新聞で紹介されていた。
・グローブトロッター(鞄ブランド)も福井の生地を採用。パラシュートを織る機械を150回改良して作った縄文織。
・熊本の橙書店はカフェから本屋も始める。そこで見つけた面白い雑誌『リス』。
素直に売る、これからの八百屋を目指す若き八百屋やなぜ魚屋をやりたいかを熱く語る若き魚屋の店主を紹介などの特集がある。


4. 秋季大会について

  小阪部会長: 今まで通り開かれた大会にしたい。現会長、副会長も「研究は現場で使われてこそ意味がある」と言っている。先ほど報告のあった春季大会は大好評。来年は宝塚。

9月の大会も昨年同様、部会で企画セッションを行う。
日経レストランのレストランサイエンス研究所の実験結果を報告。
あと2名、亀田部員、菅原部員が研究発表。当部会は感性工学会に社会の現場     
        で本当にやっていることを見せる、本当にやっていることを学術研究する場。


5.BGMの実験報告

   1)千葉部員(酒類販売)
お客には実験できなかったが社内で朝のミーティングで実験。BGM無しでは激論。
BGMはハワイアン。当初耳障り。その後穏やかになる。


2)竹原部員(運送業)
    3年前から事務所にBGMを採用。事故が減るのではないかと思ってのこと。


  3)菅原部員(和食店)
・BGMはお店には必要。オールディーズ、フォーク、ジャズを和食店で流す。年配者はもちろん若者も嫌がるものはいない。
     ・食べる時間、空間をトータルで考えやれることは全てやる
・割り箸をやめて特別な箸を使い始めたときの話。NLで箸を作っている場所から紹介した。すると、箸を使い始める日には箸を見に来店した客があった。もちろんその箸は店で販売。
・その他ヒマラヤの岩塩、化粧品なども売っている。化粧品は口コミで北海道からも注文が入る。
・落語の好きな単身赴任中の方の誕生日を祝う会では、落語家を呼びさらに奥さんを内緒で呼んだりする"思いがけないプレゼント"を用意する。


6.最後の挨拶
田中副部会長:お疲れ様でした。

第8回感性認知ビジネス実践部会を開催

日本感性工学会
第8回感性認知ビジネス実践部会 議事録

日 時:2008年 2月 4日
16:00~18:00
場 所:新宿マインズタワー
15階セミナールーム2
出席者:部会員79名中17名

■1.部会長からのお話  小阪裕司部会長

 現状の感性工学の流れと今年の部会の方向性


 【1】感性工学会秋の臨時総会で役員の交代あり 会長 工学院大学椎塚教授


 【2】感性工学会春季大会 宮城大学 3月7日8日に開催


 【3】感性工学会そのものをいかに盛り上げていくかが課題となっている。


 【4】感性工学はあくまでも実学であるというスタンス。理事会でもコンセンサスがとれている。

    また、研究のための研究ではなく、どれだけ実社会で役立つかの中心地になっていく必要があるという総意はできている。


 【5】昨年来、経済産業省が「感性価値創造イニシアチブ」という国家経済政策を発表するなどの動きがあり、そのほか、文部科学省でもこうした新しい時代の社会に貢献できる人材の育成がテーマになっている。 

 
○田中副部会長

経産省が考えている感性価値創造のイメージはプロダクツ的なのかどうか?


◎小阪部会長
ホームページでダウンロードできる公開資料はプロダクトよりではあるが、実際にプランをまとめている人たちは視野が広いと思われる。国家政策として打ち出せているので全省のコンセンサスのもとに発表したということである。
 

○田中副部会長
幹事会の中で討議したことであるが、部会の今後のあり方については、ビジネスに役立つ取り組みを実践していきながら、その気づきなどをディスカッションする中で色んなことが起こってくるのではないだろうかと思われる。
 

◎小阪部会長
   日経レストランでの連載 感性工学で商売繁盛空間認識でレストランを論じたり、BGMが感性にどのような影響を与えるかといった話を掲載している。

    私たちは、専門的な知識をもって学術研究する必要性はあまりないのではないだろうか。

    先に紹介したような試みをダイナミックにやっていくのが良い。例えば、ひとつのテーマを出して、それぞれが実験して、実際のビジネス現場でのデータを集めていく。それは我々しかできないことである。

経験則で言われていることに、一体どんなメカニズムがあるかを解明するところに感性工学の面白さがある。

たとえば我々は、3回以上来店したお客様は流出率が低いといえる経験則を持っているが、なぜ3回以上来店すると流出率が下がるのか、そのメカニズムはどうなのかを検証する。私たちは経験則から仮説を引き出し、先生方は感性工学の観点から仮説を引き出すので、双方が協力すると相乗効果が得られる。


 
◎小阪部会長
  さらに部会に期待すること石井さんが発表した防水スプレーのケースひと月ごとに3段階の実験をした。防水スプレーだけ⇒商品説明⇒動機付けメッセージという実験をした。これは普通やらない。普通は情報デザインができていないから売れないという仮説がないからやらないし、POPが書ける人は最初からやるという意味で非常に貴重なデータとなった。

言い換えれば、2ヶ月の売上を犠牲にしてデータを取ったということである。

ネガティブ実験を行うことで比較対象ができ、貴重なデータが取れるということである。でも、こうすれば売上が上がるということがわかっているのに、あえて売上が上がらない実験はしない。こうした研究ができるのがこの部会ではないだろうか。

そして、どう深めていくかという段階では、先生方のご協力を得ていくようにすれば良
いのではなかろうか。
 
○田中副部会長
   BGMの実験で正解は出ないだろうが、いい意味でその中での気づきが生まれるのではなかろうか。

◎小阪部会長
   感性工学は、答えを見つけようとしているのではない。BGMをかければパフォーマンスがあがるとかの解はない。プロセスそのものを見ている新しい時代の学問。プロセスを研究することで我々がプロセスそのものを扱えるようになるということが大事なのだということ。

我々が取り組んだデータを持ち寄ることだけで発表できる。謎は深まり、さらにテーマがどんどん出てくる。気づきが増えていく。 

研究テーマに取り組めば取り組むほど、気づきが増えて、ビジネスのヒントが得られていく。それらを他の部会員にフィードバックしていく。

ウェブマスターやメーリングリストで知らせていく。参加者が増えてくれば、さらに手分けして実験ができていく。皆が仮説を立てて実験し、そのデータを持ち寄ることでダイナミックな動きにつながっていく。学術研究かどうかはまずはさておく。  


○田中副部会長
   皆でどういう取り組みをしているのかがウェブ上でわかるようにしたいという観点で取り組んでいますが、広報活動について現在の状況を報告していただきます。

○杉山広報委員長
   ウェブサイト上で、各自の研究をアップできるようになっている。 


 ◎小阪部会長
BGMが人の感性に影響を与えているのではないかという仮説をもって臨む。実際に影響を与えたかどうかのデータをとる。データの取り方で単純なのはアンケートをとるということ。

アンケートの取り方は様々あるので、各自ネットで質問を掲載してみてそれらを参考にしていく。ただ、BGMがいいかどうかは聞かない。こう聞くとBGMの調査だとわかってしまう。

これではリザルトの世界のやり方になってしまう。感性に影響を与えるかどうかの実験なので、どう与えたらどう変わるのかの仮説を立てて検証する。

例を示す。新しいお店を作るのに4種類のロゴマークデザインをお客様に聞いてみた。  こういう場合、どれがいいと思うかという聞き方はしない。それでは好き嫌いの結果が出るだけになってしまう。


新しい店のロゴマークは、親切にしてもらえそうな感じがあるか、あったかい安心そうな雰囲気を感じられるかどうかを聞くのである。5段階で聞くやり方もあるが、どの辺なのかを聞くやり方もある。


○田中副部会長
 まず、BGMという方向性で感性工学的なデータをとる方向でいきましょう。

◎小阪部会長
   BGMを活用していない場合は、まず現在の状態を計測して自分の仮説を立てて改善し、その後調査という手順を踏んでいただきたい。皆さんがデータを出し合っていただければ、内容によっては先生方と協力して共同研究しましょうという流れが作れると思う。


○田中副部会長
  この場では事前質問は決めかねるので、どういう質問をすると効果的なのかは各自取り組んでみて、それぞれウェブ上で報告していきましょう。


◎小阪部会長
  何の質問をするかを考える時は、何のためにとるのかをはっきりして臨む。何を改善したいのかという仮説が大事。BGMを変えたら感性が変わるのではないかという漠然とした捉え方では、なんとも言えない。

   例...BGMがかかっていないフロアはストレスが高いのではないか?
     飲食店でBGMがなくなると客単価が下がるのではないか?
     BGMがなくなると歯科治療はつらい人が増えるのではないか?

     そして、今日のBGMはいかがでしたかと聞くのではなくて、治療はつらくなかったですかというような質問を考える。


○杉山広報委員長
  メーリングリストは、今日の参加者に限定する。
  今日の話の内容と何を考えるか、どういう実験をするか、どんな質問をするかをメーリングリストで配信していく。数日間のうちに実施していく。


○黒澤さんより
  メーリングリストの運営も一つの実験になる。共通の目的が今日の部会でシェアできているので、次回の部会までにウェブ上でやり取りして、どれだけのグループダイナミクスができるのかを検証したい。有効であれば整備しながら部会全体に広げていきたい。


○田中副部会長
  取り組みは自由参加なので、取り組むかどうかは自分の判断でお願いします。


◎小阪部会長
  小阪裕司個人として、こういうような研究のデータ取ってくれない?というようなお願いする可能性もあります。



■2.今年9月に開催が決定した感性工学会大会での発表について

  感性価値創造に関する当部会のケーススタディの発表について

◎小阪部会長  
  大会では特別セッションの枠をとろうと思っている。部会活動としてのセッション。

BGMについて深めてもいいし、テーマを出しなおしてもいいし、学会では途上のもので構わない。部会全体で取り組んでいるものが発表できるといい。また、どなたかが取り組んでいることを感性工学的な角度でまとめて、現場のケーススタディとして発表するのもひとつ。いずれかは今後深める過程で決定していく。



■3.感性工学的手法のビジネスへの活用について
   我々が現場でやっていることを他部会の先生とジョイントして感性工学的な手法で分析し、その後のビジネスにいかせるデータを受け取ることは出来ないか?


○柴山さんより
  「携帯電話向け防犯メールマガジン」において文体、文字量、送信頻度、送信時間、読者年齢、性別により好感度が変わるか?変わらないか?を調査したいという提案が出される。

提案理由としては、被害にあうと一番心が傷つくのは女性なので事前に予防して欲しいという観点から。パソコンから携帯電話で情報を仕入れているようになってきた。

いちばん身近なものに情報提供していくのがいい。ということで開始した。

文章の書き方。柔らかい口調 断定口調 女性に受けるかどうか。文字量 送信頻度 送信時間、年齢、性別により計測して好感度がかわるのかどうか。どういう文体だと好感を感じてもらえるのかといった内容。


○田中副部会長
このテーマも皆で研究できるのではないか。携帯だけでなくメルマガという観点で考えれば。


◎小阪部会長
関心事としてはあるでしょう。メルマガ読者にある仮説にもとづいて3つのパターンで配信し、好感度を把握することは大学の先生はできない。メルマガの研究をしている先生はいるけれども。ビジネスはベストと思えることを一個やるわけで、あえてベストでないと思えることをやるのは怖いことです。自分のメーリングリストでやろうとしたら覚悟がいりますね。


○田中副部会長
 こうしたテーマを毎回募ることにしていきましょう。


◎小阪部会長
  テーマがウェブ上で先生方も閲覧できるようになれば、先生方とのジョイントもできやすくなる。



                                             以上

議事録作成者 髙荷一良 

第7回感性認知ビジネス実践部会を開催

第7回感性認知ビジネス実践部会


日 時:2007年 10月29日
16:00~18:00 
出席者:部会員 92名中 15名  

司会進行  田中副部会長



■1. 小阪部会長挨拶

 当部会の方向性

・ 8月の大会では理論に基づいた発表が多い中、当部会は小阪部会長が理論の発表を、
4名の代表者がケーススタディー形式での発表をした。

・ 他の部会の先生からも評判が良く、非常に良いセッションだった。

・ 当部会の今後の方向性としては、今大会で行った部会メンバーのケーススタディー
形式での発表を振り返っても、他の部会にはないこのケーススタディー形式に取り
組んでいく事が有意義ではないか。

・ 他の分野の先生方にも当部会の実践発表は大変良い情報として活用してもらえるの
ではないか。
 


 10月の総会報告

・ 理事 小阪部会長

・ 学会へ当部会から評議員を2名選出するようにとの依頼があった。

・ 小阪部会長からの推薦により田中副部会長と玉井氏に決まった。
  


 札幌国際会議の報告

・ 400人以上の参加者もあり大成功だった。

・ 国際会議にふさわしく、感性研究の盛んなヨーロッパ、アジア各国の研究者、感性
関連研究学会の韓国、北欧、ドイツそれぞれの代表的人物が来日した。



■2. 2期目に突入した当部会の今後のあり方、方向性について 

 会計幹事 柴山氏より

・ 前回の総会で4名の発表による報告は良かった。しかし、その時にあがった会話の
内容はその先に進む事が無く、その時だけで終わってしまっている。

本来、日常のビジネスに学会の活動を活かしきるところまでではなく、活かしていく
途中のプロセスも、部会としては「進んだ」と評価したい。

・ 学会の活動を今後一方的に聞くだけではなく、自分のビジネスでの事例を感性工学的
な視点で積極的にアウトプットする機会を設けてもいいのではないか。

・ 部会でディスカッションするメリット

 【1】一人の気づきを発表する事で参加者全員とシェアする事ができる。

 【2】発表する人は更に高まっていく。

 【3】学会に参加できなかった会員についてもアウトプット、気づきをメーリング

リストに投稿する事によって、同じような実践をしている人達と共感する事が
できる。またそれにより学会の活動がより活発になる。

 【4】色々な研究の話をしたり耳にする事で自社のビジネスのヒントになる。

 【5】計測的に取り組む事は、感覚的に理解していた事がより解りやすく証明され検証
しやすくシェアしやすい。



■3. ディスカッションタイム(NEW)

・ 田中、柴山、成田、岩上の4名が各自のビジネスでの取り組みを発表し、参加者全員
でディスカッションした。



■4. ディスカッションを通じて小阪部会長から

・ 各発表に対して当部会の学会研究のポイントや視点を解説

・ 当部会の「研究」としては、学会全体での研究成果を参考に「いかに自分のビジネス
に応用し、実践していくか」だけでなく、「この現象はなぜ起こるのか」というメカニ
ズムを解明し、議論していくスタンスが望ましい。

・ 今回のようなビジネスフィールドで行っていることを題材にした研究視点でのディス
カッションは、今後の部会研究活動への方向性が見えて良かった。


                                          以上


                             (議事録作成者:岩上 巧)

第6回感性認知ビジネス実践部会を開催

日 時:2007年 8月1日
18:30~21:30
場 所:Y'S エステック情報ビル店
出席者:部会員 95名中 16名


■1. 田中副部会長より

・発表者へのねぎらい

・当部会の企画セッションに出席して

前回大会より認知度があがっているのでは? ポジションが出来てきた様に感じ感動した。
・「集客効果を高めるダイレクトメール創り"SAM-DM"の確立」のセッションを受けて


・「若年層向けの自動車デザインプロファイルに関する一研究」のセッションを受けて


・パネルディスカッション「今再び、感性を考える」に出席して

富山先生のお話「まったく関係ない人とのコミュニケーションで論文のヒントを得たおかげで博士号が取れた」と聞き、実践会も異なるジャンルの人々の集まり、同じ様な関係があるのではないだろうか。

・総括
感性認知ビジネス実践部会は期待をされていると感じた。「学会」とあらたまらずに肩肘はらず実践できる。



■2. 学会で気づきのあった方より

1)千葉さん

当部会の企画セッションに出席して

・参加費1万円は破格のセミナー

・発表された4人からは色々な学びを得られた。4人の流れも素晴らしく、元気をもらえた。

・ゼリア新薬の小林さんの発表について、
販売店をやる気にさせた上、営業マンも自ら考えるようになった点が素晴らしかった。

・石井さんの発表について、
初めての発表とは思えないくらいよかった。


2) 柴山さん

【1】当部会の企画セッションに出席して
つっこみどころのない発表、服装もきまっていた。洗練されていて今までと違った発表。

【2】「五感を開く園芸療法を活用した高齢者介護技術の開発」のセッションを受けて
ボランティアの学生が介護をしていく中で笑顔が増えていくといった内容。こういう研究はおもしろい。さらに、関わっていく人のために役に立ちたいから研究するという先生に共感。

3) 大村さん

【1】当部会の企画セッションに出席して
時間配分がよくてしゃべるプロと感じた。

【2】「酸素療法中の患者に対する看護学生の注視点分析」のセッションを受けて
看護師さんの視線についてだが、経験のある人は視野が広く、経験の少ない人は視野が固まっているという実験結果だった。このことから経験・実践で感性が育まれていくのだと実感できた。

【3】「集客効果を高めるダイレクトメール創り"SAM-DM"の確立」のセッションを受けて

やはり経験は大事と認識できた。

4)高荷さん

【1】当部会の企画セッションに出席して
自己開示をしている方の発表を聴くとどんどん自分に入ってくる。

【2】企画セッション「かわいい/心和むVR」に出席して



■3.今回の発表者より


1)米澤さん
外部で発表すると、普段は冷たい視線を感じる。今日は皆さんがいて地声でしゃべることが出来た。他の方の発表も再現性があり、世の中への貢献を目指していてうれしく思った。

2)石井さん
時間制限にあせりつつも無我夢中でしゃべってなんとかできた。ここに参加している人は実践会の仲間と思って発表したので気軽に話せた。自分でまとめていくと「そうなんだ!」と理解でき、次につながることに気づいた。実践して結果的に5年間の実績が出た。


3)射場さん

【1】PTA会長として発表した。

みなさんも、機会があればぜひこういった役目を引き受けたほうがいい。エントリーをまとめるのと同じで、自分のやってきたことを客観的に見ることにつながるし、何よりも学会発表という貴重な体験は、間違いなく自分自身の引き出しを増やしてくれる。

【2】「日本語擬態語の感性辞書の研究」のセッションを受けて
擬音語についての発表で、歩く時の擬音語「てくてく」をビデオに撮って見せた場合とアニメにした場合では、イラストの方がわかりやすいという結果が出ていた。これは、場合によっては写真を使うよりイラストを使う方が効果的という、非常に貴重なヒントになった。


【3】ゼリア新薬の小林さんの発表で販売店に1kgの脂肪の模型を置いているという話を聴き、具体的なアイディアにはなっていないが、何か感じるものがあった。「これは使える」と。



■4.小阪部会長より

大会実行委員長より企画セッションの依頼を受けたが、これはすごいことである。なぜなら、企画セッションは申請すれば誰でも開催できるものではなく、基本的には大会実行委員からの依頼が必要だからだ。現在当部会に様々な先生が興味をいだいている。

今回の発表で何をやるべきか大会実行委員長である椎塚教授に尋ねたところ、「ぜひケーススタディを発表して欲しい」とのことだった。感性と行動によって売り上げをつくるビジネス方法論の実際の現場での検証事例をもっているところは世界的にも少ない。


よって今回のセッションはケーススタディに徹したことが成功の一因といえる。さらに今回の発表者のデータは3年以上実践し続けていないと入手できないデータであることから、特に貴重な検証事例である。


今後も学会と連携をとりながら実践していくことが大事。欲目を出さず、実践あるのみ。圧倒的に実践データを出すのが当部会の務めである。


議事録作成者 須田 正樹

第5回感性認知ビジネス実践部会を開催

日 時:2007年 5月14日
16:00~18:00
出席者:部会員 92名中 20名


■1.副部会長開会の挨拶  田中愼一郎 副部会長

【1】会計報告(会計監査 柴山氏)

 平成18年度の会計報告。

【2】年次大会での企画セッション
 (小阪部会長)
 工学院大学で8月1日、2日、3日に年次大会が開かれる。部会に企画セッションの依頼がきている。 1時間から1時間半の枠内で4件から5件の研究発表を行う。

現実の現場で実際になされている感性価値創造のケーススタディを発表して いく。 自薦他薦を問わず、4人の発表者が必要。

部会員にインフォメーションして発表者を募る。 希望者が出なかった場合、幹事会のほうから、指名する。(拒否権あり)

今年の学会のテーマは「感性情報による価値創造」

ⅰ 顧客の感性に働きかけたことにより、商品やサービスが売れた

ⅱ 顧客の感性に働きかけたことにより、顧客とのリレーションシップが深まった。その結果どう変わったか。

この2つのいずれかの事例を持った人を募る。

大会や学会の活動に積極的に参加してください。 大会に出店する依頼があるかもしれない。

大会の機会に、部会として、意識の高い商人であると同時に学術研究にも関心の高いビジネスパーソンが集まっており、ビジネス現場を持っているからこそ実証学的に研究が可能なユニークな部会であることをアピールしたい。

【3】国際会議について (小阪部会長)

10月10日から12日まで札幌で開かれる。日本感性工学会主催の、初の国際会議。「感性工学と感情研究の国際会議」
主催:日本感性工学会
共催:韓国感性科学会 Design&Emotion学会



【4】消費者感性分析調査の実施について(小阪部会長)

小阪が本年より本格的に研究と実学的体系化を行う「消費者感性分析」の活動に、ぜひ参画いただきたい。

「消費者感性分析」は、過去、小阪がシンクタンクの研究員らと共に何年も継続的に行っていた、最新の分析手法。

【概要説明】
消費者の潜在的な消費感性を把握することができる。たとえば、これからどういう商品やサービスを提供すればよいのか、お店でどういう空間を作れば心地よいとお客が感じるかといったことが、事前に把握できる感性分析手法がある。

基本的には、特殊な方法で設計されたアンケートと多変量解析というデータ解析手法を活用して、消費者の感性の現状とゆくえを探るもの。(以下、分析手法の概要説明がなされた)

【5】年間部会開催スケジュールについて(田中副部会長)



■2.感性工学春季大会からの気づき (小阪部会長より)

筑波大学で行われた感性工学春季大会について

テーマ:感性⇔脳機能 感性工学と脳科学の融合
    春季大会の実行委員長・久野節二教授(筑波大学大学院感性認知脳科学専攻)
 
気づきを得た発表のなかから幾つかを紹介・気づきを解説

1.筑波大学人間総合科
   「芸術鑑賞と創造の脳活動]というテーマの発表
ファンクショナルMRIを使って印象派(ルノアール)とシュールレアリズム(ダリ)の絵を見たときの脳の動きを見る。

絵を好きかどうかということと気持ちがいい、悪いという情動とは関係ないらしい。わけの分らないものをみると、脳は一所懸命意味を考える。

2.ペンのデザイン
デザイン系の学生と非デザイン系の学生を集めて、ファンクションMRIを使って、脳の使っている部分を調べる。

既存のペンの絵を見ながら、自分独自のペンのデザインを考え、描いてもらい脳の動きを見る。

その結果、プロから見て独創性のあるデザインとそうでもないデザインをした人の脳の動きには違いが見られた。

デザインが下手な人は後頭部、上手な人は右脳前頭前野がデザイン中に活性化していることがわかった。

後頭部はマネ・改良に発揮される部位、右脳前頭前野は創造性を発揮する部位。

-この違いが現れた原因(あくまでも推論)-たぶんエクササイズの量の違いであろう。エクササイズの量によって、ある日突然、脳の使う部分が変化し、できるようになる。

つまり、基礎の反復をどれだけやり続けてきたかということ。
このことはデザインに限らず、スポーツや商売その他にもいえるのではないか。


■3.感性社会学
   黒子先生(首都大学東京)のお話から工業社会から情報社会、知識社会に変わった。それに伴い、貨幣経済における資産が変わってきている。

工業社会での資産は"お金"。お金を持っている人が強いというのは、工業社会でのこと。しかし現在の情報社会においては"お金"は資産という地位を失ってきている。

実は情報化社会における資産は"注目"である。例えば「あれってすごいらしいね」という"注目"作用の中に貨幣形態を見出すことができる。

知識や記憶などの情報流通のエコノミーは貨幣と親和性を持っている。心理的な作用、"注目"ということにも大きな貨幣的な意味がある。

今後、感性エコノミーにおいては、"注目"の資産の蓄積が将来のリターン、利殖に繋がっていくのではないか。

最近多くみられる「いかに価値ある情報を高く売る」かではなく、「価値ある情報をいかに無料で大量にばら撒く」かも注目の資産の蓄積には有効であろう。

そうした"注目"のエコノミーにおいて、決定的なファクターとは、"関係性"をいかに築けるかということが重要になる。

この関係性のマネジメントこそ情報社会の鍵を握ることになるであろう。


■4.閉会


議事録作成者 大村 文江


第4回感性認知ビジネス実践部会を開催

日 時:2007年 1月23日
15:30~18:00
出席者:部会員106名中14名


■1.2006年の学会活動に参加した感想を交流した。
 1)黒澤 正明氏
とりあえず「小阪フリーク」として参加していた。現在は学会誌を読みながら勉強している。最近読んだ論文では「携帯メールと顔文字」を扱ったものなどが興味深かった。

 2)柴田氏
大会での発表を聞いて、現場でどうにか使えないかと模索している。仮説と検証という思考が身に付いてきたと思う。名工大で開催された催しに単独で参加した。

 3)柴山氏
論文の最初と最後の部分はとりあえず読んでいる。長野県産業研に参加した時、信州大清水先生から地産地消を薦められ、初めてそういう言葉があることを知った。

 4)菅原氏
「学会=医者」のイメージがあった。「感性」という部分に興味がある。まだ大会には参加できてないので、何とか時間をとって参加したい。

 5)須田氏
美容室の話を聞いて実践してみた。人の感性の計測方法にどんなものがあるのか、まだよく分からない。大会は面白かった。パネル発表をもう少し見たかった。

 6)石井氏
「学会員」という自覚はあまりなかったが。自分の「感覚」を第三者に伝えるために適切な言葉・数値におきかえる方法を見つけたい。

 7)立川 亜美氏
ラジオの仕事をしていて、同内容のメッセージでも言葉遣いの違いで反応が違う。プロデューサーからは「声の低いアナウンサーが聞いていて疲れなくてよい」という話をされる。こうしたことは経験則として語られていることだが、その裏付けを学会の知見から得たい。

 8)岩上氏
美容師をしているが、スタッフに自分の考えを感性としてのみ伝えようとすると、どうしても曖昧なものになる。それを超えたい。自らが学んでいる姿をスタッフに見せられるのが有意義。


■2.部会員より学会に出席しての感想

1)千葉 剛章氏
7月15日に行われた長野県上田市の信州大学で長野県感性産業研究会の感想。

実業現場での何が学会の研究ととつながるか?と疑問だったが、今までのニュースレターなどを発表。30分のプレゼンのあと、とても多くの質問が来て驚いた。

感性とは学ぶものではなく、今までやってきたものが感性だったのだと認識した。

その他、多数の感想の発表がありました。

2.小阪裕司部会長から2007年の活動方針について提案があった。

学会内に位置する部会ということを改めて重視していく。
活動テーマは「学会活動に参画する」ということ。

現時点では私が主宰する「ワクワク系マーケティング実践会」からの参加者が多いため、どうしてもビジネス現場での実践が話題の中心になりがちだが、今後は学術界の研究者の参加も増える。

その意味でもこの部会は、「実証研究」である位置づけを意識し、その知見を「実証学」に高めていきたい。また、それができることに学会の中にこの部会が存在する意義がある。

具体的には次に揚げる5つの活動をすすめていく。

1) 学会誌を読む。全文でなくともよいので、自分なりに読み取り、応用・活用を考えてみる。学会誌は本年度より定期刊行物になるので、定期的に届くことになり、まずはこれを題材として活用したい。

2) 大会に出席する。(本年度は、春季大会3月。年次大会8月。
国際大会10月の予定。詳しくは学会HPを参照のこと)大会に出席することで情報も得られるし、「学会員である」という実感も得ることができる。

3) 部会で、参加者同士ディスカッションする。学会誌の論文からテーマを選択する。内容としては次の2つを考えている。

(1)論文から得た知見をビジネスに応用するアイディアを交流する (2)論文で使われている研究方法・分析方法の対象が他にも考えられないかビジネス界の立場からアイディアを考えてみる。

例えば「○○先生が行っている感性分析手法を、店舗外観の感性分析に活用してみると面白いのではないか」、というアイディアを出し合う。

4) 学会誌を読んだ感想を交流する。メーリングリストなどを利用して、気軽な交流をしていきたい。また物理的条件で学会・部会に参加し難い会員にとっても、メーリングリストの場を使って参画の場を提供したい。

5) 研究参画を試みること。研究者は、たとえば感性分析手法そのものには関心があるが、対象・題材が不足している。一方ビジネス関係者は対象・題材に関する知見には関心があるが、その研究方法に疎い。両者の不足するものを補いあう形で研究テーマが見出せないか模索していく。

昨今では大企業も感性をキーワードにしたマーケティング手法の開発に関心を示し始めているが、えてして大企業での開発・研究した内容は公開性に乏しい。

中小企業に広く知見を広めるために、この部会で実証学的研究をすすめていきたい。


3.閉会


議事録作成者 黒澤 正明


第3回感性認知ビジネス実践部会を開催

日 時:2006年 9月14日
18:00~21:00
出席者:部会員102名中30名

1.副部会長挨拶  田中愼一郎 副部会長
【7月15日に行われた長野県上田市の信州大学で長野県感性産業研究会での感想】
テーマは「新しいビジネススタイルの成功例:感性認知ビジネスの実例」。
講演には、部会員から3名が出席した。発表の後には、予想に反して多くの質疑応答があった。参加者からの感動の声、質問が多数寄せられた。
我々が実業の現場でやっていることは、学会にリンクしていると肌で感じた。
 
【日本感性工学会 総会に出席しての感想】
・学会長 長沢伸也先生(戦略デザイン研究所)から「これからのビジネスの大事な5つのエッセンス」は・・・
1. SENSE(五感)
2.FEEL(感情)
3.THINK(うんちく)
4.ACT(ライフスタイルの提案)
5.RELATE(顧客との関係性)
学術的知見と実際のビジネス現場とのパイプ役を、我々の感性認知ビジネス実践部会が担っていけるのではないかと実感した。


2.部会員より学会に出席しての感想
1)千葉 剛章氏
7月15日に行われた長野県上田市の信州大学で長野県感性産業研究会の感想。
実業現場での何が学会の研究ととつながるか?と疑問だったが、今までのニュースレターなどを発表。30分のプレゼンのあと、とても多くの質問が来て驚いた。
感性とは学ぶものではなく、今までやってきたものが感性だったのだと認識した。

その他、多数の感想の発表がありました。

3.部会長挨拶  小阪裕司 部会長
学会の研究⇔ビジネス界(産業界の人)との間でどう結びついていくか?
部会の活動としては、具体的なテーマを挙げて研究知見と実務を、どう結びつければ良いのか?を考えてみる。

《ジョイントセッション講演会における学生からの質問に関しての解説》
質問内容
①発表のどこが新しいのか?
②何もやっていなかったのをやったので成果が上がったのではないか?
解答内容
新しいのは、手法ではなく、人の感性と行動を軸にビジネスを見るフレームが画期的である。
質問者が言うとおり、今までやっていないことをやっただけのことだが、やっていない企業――このフレームで見てない企業がほとんど。だから、画期的な結果がでる。
人間の感性と行動を設計してデザインして動機付けること。これをやっている企業は、ほとんどない。だからこそ、今後の研究テーマをひねってビジネス界と結びつけることにより、また新たな研究・成果が期待できる。


5.閉会

ゲスト:名古屋工業大学大学院工学研究科 武田竜弥助教授(感性社会学研究部会)

議事録作成者 立川 亜美

第2回感性認知ビジネス実践部会を開催

第2回感性認知ビジネス実践部会を開催しました。

開催日  :2006年6月8日(木)
時間    :14:30~16:50
場所    :工学院大学 会議室
参加人数 :部会員34名

議事
◇部会長挨拶 小阪裕司

◇部会運営についての討議
  幹事会の設置、常任幹事、幹事の2段階に設置
  副部会長、広報委員長、広報委員、会計監査、書記長
  運営事務局の設定→ 副部会長(田中慎一郎)が経営する株式会社上薬研究所内に設置
  いずれも、原案通り承認されました。

◇研究について

◇報告事項
  ・第八回日本感性工学会大会・総会について
  日時:2006年9月13日~15日
  場所:早稲田大学本部
  ・感性産業研究会にて事例発表
  日時:2006年7月15日
  場所:信州大学

感性認知ビジネス実践部会例会設立記念部会を開催

設立記念部会を開催しました。
開催日  :2006年3月6日(月)
時間    :13:00~18:00
場所    :五反田ゆうぽうと
参加人数 :部会員48名
来賓ご参加
八森 章 様 信州大学繊維学部元学部長
清水義雄 様 日本感性工学会理事・信州大学繊維学部教授
川村 隆 様 信州大学繊維学部助教授
清宮正智 様 日本感性工学会事務局長
高島 昭 様 CSK顧問
藤島レミ 様 一橋大学大学院学生
中島久一 様 シモンズベッドマーケティング部長
栗山 衛 様 株式会社たまき 副社長

議事
◇部会設立報告 部会長小阪裕司より挨拶
 ・理事会での感性認知ビジネス実践部会承認の報告
 ・小阪裕司 日本感性工学会理事就任の報告

◇清宮正智様ご挨拶
 
◇記念講演1「感性工学とは何か」 清水義雄様

◇記念講演2「感性認知ビジネス実践とは何か」 小阪裕司

◇出席部会員自己紹介

◇研究テーマの設定について

◇今後の部会運営について

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    (担当:富山)
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