第12回感性認知ビジネス実践部会を開催

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第12回感性認知ビジネス実践部会を開催

日本感性工学会



第12回感性認知ビジネス実践部会 議事録



日 時:2009年 3月 3日


15:30~18:00


(株)ヴィデェオール・キャリア東京本社 レンタル会議室


出席者:部会員70名中18名




■1部会長挨拶
1)今回でこの部会も12回を迎えることとなった。会を立ち上げて3年が経過する。

  先日、日本感性工学会事務局より各部会の活動状況の調査があったが、この会は、継続的かつ実質的な活動を活発に行っていると思う。



2)ここで活動のステージを上げて行こうと考えている。

  われわれ現場の実践者たちと他部会や大学の研究者とをジョイントし、お互いに研究活動を発展させていけたらと思っている。



3)その発展方向へのヒントとなる実験が昨年暮れに行われた。当部会員・有限会社シルク・石井康友氏の協力によって、感性工学の研究者・工学院大学大学院・情報学修士の正木圭さんとの具体的なジョイントである。今部会ではまず、その発表を聞いてみたいと思う。




■2ビジネス現場と研究とのジョイント

1)ケーススタディ:当部会員・有限会社シルク・石井康友氏と工学院大学大学院・情報学修士課程の正木圭さんとのジョイント



『消費者の意思決定プロセスのモデル』 正木圭さん

・情報を提示した場合、購入(登録)にいたるまでのブラックボックスを解明したい。

・情報→提案→A日常生活→B商品の評価→X商品の購入 A~Xの3つが 3層意思決定プロセス



・石井さんとのジョイント研究では、石井さんに 味噌 梅干しを販売してもらい、そのときの、情報提示から購入に至るまでのプロセスを解明するために、アンケートを実施した。購入者の中から100名を選び、商品と一緒にアンケートを発送した。


・回答は40例あった。それをもとにデータを分析、結果を検討したところ、以下のことがわかった。


・アンケートを解析すると、購買の要因として重要と考えられるのは、商品の使うシーンの情報と、石井さんとの信頼関係であることが判明した。



・その「信頼関係」とは、クリーニング店主としての石井さんとの人間関係である。

 ●クリーニングの腕の良さ  ●クレームゼロ件 ●過去の経験

 ●クリーング店とのやりとり ●人間関係の強さ ●マスターとよばれる人柄


・アンケートでの言葉を専門的に解析して つぎの4つのプロセスがあることがわかった。

 A日常生活 → B態度 → C商品の評価 → X商品の購入
      4要因意思決定プロセス 

 前期の 3要因に "態度"というものが加わった。

・態度とは、自身の経験。知識を基にした反応の傾向。例えば"好き"と"嫌い"など。






2)ディスカッション:(先ほどのビジネス現場とのジョイント研究結果発表も踏まえて)本部会の発展の方向と内容について


<部会について>

(副部会長)

・部会に来られない人にも活動に触れられるよう、画像や映像をホームページに張り付けて、見られるようにしたい。


(部会長)

・それだけでなく、リアルな場にも自主的に来て、活動に触れてももらいたい。






<今後について>


(部会長)

・石井さんと正木くんのように、ビジネスの現場と研究を結びつけられるのではないか。


(虎島さん)

・実験したい気はある。ビジネスの経験値だけではなく、こうした研究を通じてデータがとれてまとまるなら欲しい。


(塩島さん)

・たとえば顧客に対して働きかけて(美容院であるにもかかわらず)半年かけて"りんご"がよく売れた。(自分が)りんごを知らないところから勉強をして、感性を高めて売ったけれども、どうして売れたのか、その原因を知りたい。


(玉井さん)

・(先ほどのジョイント研究について)石井さんの信頼。ブランドの知名度。価格など、石井さんはどのように分析しますか?


(石井さん)

・この商品はネットで買えるかもしれない。お客さんは、誰から買うかを選んでいるのではないか? 窓口は"シルク"になった。そこで価格は問題とはならなかった。


・ジョイントするなら、実験に徹することができるので、売れなくても損のないもので行う方がいい。ジョイントすることで、自分の腕が上がる。アンケートも工夫する。


 売り切るためにはなにをすればいいか、たとえば予約の方法など、考えるようになる。


・チャレンジすると、いいトレーニングになる。


(玉井さん)

・石井さんのジャンボはがきについて。文(お客さんの購買行動に影響を与えるため書かれた文章)についてどう考えているのか?


(石井さん)

・まず、どこから見るかを考える。注文まで、どういう流れになっているかを考える。


・キャッチ。印象残る配置。おちゃめさ。おもて面は文章を少なくして裏面へひっぱり


 "なぜ売るのか?"を伝え、注文までの流れを作る。


(部会長)

・研究者とのジョイントをより積極的に展開していきましょうか?


・教授クラスではなく、学部生・大学院生とのジョイントを実施してもいい。


・たとえば「しゃぶしゃぶレストランで、○○○は?の研究」など。


・今回の石井さんと正木くんのジョイントでは、非常に面白い可能性が見えた。


 大学院生の修士論文のテーマとジョイントして、研究データを取るための現場を協力してみるのもいいかもしれない。


(玉井さん)

・(自社のビジネス内容の観点から)展示会やセミナーなどについて、対費用効果などをクライアントにどうやって見せればいいのか?などに関心がある。


・集客ビジネスついて、費用対効果は査定できるだろうか?


(米澤さん)

・こういった実験について、いつもやりたいと思っているが、実際はやっていない。


・セールスレターを作ったとき、手直しすればするほど、お客さんの感性に響かないことがある。作りたてのセールスレターと手直しセールスレターとの比較データが欲しい。


・卒論くらいの研究ジョイントなら、やってもいいと思う。


(部会長)

・では、分析してほしいテーマを並べてみて事務局へ送ってほしい。


(虎島さん)

・語感について試したい。「ありがとう」と「感謝」では、相手の感じ方がちがう。


 訓読みはアナログで距離感が近くなるが、音読みはデジタルなので硬くなってしまう。こういった、研究ができるのならやってもらいたい。


(部会長)

・具体的にやりたいことがあったら、大学に投げかけてみることもできる。


・まずは部会内の討議内容として、なんでもありで、10個くらい思いついたもの出してみたらどうか?


 困っていること、気になっていることなどを出してほしい。


(石井さん)

・今回のジョイントを機に欲が出てきた。梅干・味噌の販売を通じて顧客との信頼関係が見えてきた。そこでもうひとつ試したくなったものがある。それがどこまで再現性があるのか?ということである。


・夏限定の味噌。半年も前から予約が始まっている。こんなことをやっていると、そういう商材が集まってくるし、商売のフィールドの幅も広がる。


(部会長)

・自分なりに検証してみてほしい。そして"仮説・検証"の癖をつけてほしい。


 なぜならビジネスは、仮設・検証しかないからだ。


(副部会長)

・来週中に、事務局あてにテーマをメールで送る取り決めにする。






3. 幹事会における検討事項と報告



    (部会長)

    ・部会費について、現在12,000円だが、このままこの会費を継続したい。→賛成

    ・現在使っている費用は、事務局代 と 部会会場費である。

    ・今後は他部会や大学院生とのジョイント研究にかかる経費や、話を聴くためにお招きする先生方などの交通費や講師料にあてたいとも考えている。

    ・来られない人にも情報をサイト等で、提供していきたいと思う。

    ・その他、部会費支出の例。●食事交えての会議 ●部会の合宿 ●発表者への交通費





4. 次回について

    次回開催は、6月8日(月曜日)(株)ヴィデェオール・キャリア東京本社レンタル会議室












『消費者の意思決定プロセスのモデル』 正木圭さん






正木圭さん






ディスカッションの様子






交流会






写真 広報 桑野一哉



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