第15回感性認知ビジネス実践部会 議事録

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日本感性工学会

第15回感性認知ビジネス実践部会 議事録

 

日 時:2010年 2月 3日      

15:30~18:00

               場 所:スター貸会議室 東京八重洲

                       出席者:12名

 

●田中愼一郎副部会長より今後の日程と報告 

・次回部会は5月17日(月曜日)品川か東京で。場所は未定。

・今年の秋の大会は非公式ではあるが9月10日、11日、12日東京工大で開催予定。

・事務局を来期より杉山氏の会社に変更。

 

●新部会員より自己紹介 園田氏

・九州大学大学院 統合新領域学府ユーザー感性学専攻に昨年の4月より在籍している。

・社会人学生で父の仕事と排出量取引のマネージメントと審査を行っている。

・企業と関わりながら商品開発を行う仕事をしていきたいと思っている。

・感性ビジネス実践部会で研究のための見知を深めたい。

 

●小阪部会長

・評議員の選出

今期までは田中副部会長と玉井氏が評議員を担当。来期より当部会から4名を選出する事になった。

田中氏玉井氏に加え、幹事会より杉山氏を選出。残りの1人に大村氏を選出。総会後承認される事になる。

 

●北米神経科学会大会(ニューロサイエンス2010)についての報告(小阪部会長)

 ・2008ワシントンDC、2009シカゴで開催された。2010はサンディエゴで行われる。

・ニューロサイエンス2010は相変わらず脳科学の感心を象徴している盛況ぶり。

・私達に関連の深い所で考えさせられる事があった。

・2008年は人の意志決定に直接影響を与える新しいマーケティングアプローチを発表。

・意志決定(ディシジョンメイキング)は脳科学にとってホットなトピック。

・2008年発表のセッションが「ニューロエコノミクス」という分野だった。その派生がニューロマーケティング。発表には多くの人が集まりトレンドという観点から見れば、トレンドの最先端で発表してきたのだが、2009年はニューロエコノミクスというセッションそのものが無くなっていた。その意図は定かではないが、最近の脳神話が問題になっていて、科学という観点から見て疑問を持つ事が多くなったこともあるかもしれない。脳科学が眉唾なものになりかねない事、また(日本では見られない論議だが)ニューロエコノミクスの研究には宗教的にネガティブな面を感じる人もあり、宗教上の問題もあるのかもしれない。

・2009年は「リスクテイキング&ソシアルディシジョンメイキング」というセッションで、顧客のロイヤリティー形成のプロセスについて発表した。

    ビジネスの領域はディシジョンメイキング(意思決定)という領域と関わりが深い。ビジネスの現場の経営者として現場の立場として日々ディシジョンメイキングを迫られている。経営の意志決定という高度なディシジョンメイキングや、一昨年発表した消費者の購買の意志決定という非常に複雑な脳機能に関しては、脳科学的に研究されている例はまだ少ない。fMRIを使って、例えば紅茶にするかコーヒーにするかの意志決定はややリアルタイムに見ることができる。だがその状況はfMRIの筒状の中に仰向けに寝て入り、紅茶とコーヒーの写真を見る事で意志決定の脳の状態を見る。これは現実の意志決定とはかけ離れた状況である。しかしながら、それもまた意志決定である。脳計測の実態からいって、購買の意志決定の研究は深化しにくい。

    研究の現場では、猿を使いディシジョンメイキングという活動はどんな脳活動なのかを調べていることもある。猿の脳に電極を埋め込めば、どんなニューロンが発火しているか精緻なデーターがとれる。意志を決定する際にある特定のニューロンが活動している事は解っている。

・我々部会としては、きわめて実務に近いところでやっている感性の研究者達として人間の脳がどう働いているかは解らないままに、ある種の仮説を持って人の脳に働きかけをやっている。それは結果的にそうなったのでは無く、意図をもって行っている。脳研究としては非常にレアなアプローチではあるが、脳研究者からは関心をよせられる研究でもある。

・今、日本の脳科学の先生に提案している。社会現場での我々の計測データーと先生方の立ち位置での純粋な脳の計測データーとブリッジ出来るような研究テーマや研究のやり方が見つかれば、お互いに大変有意義ではないか。そうなればニューロマーケティングやニューロエコノミクスが進展するのではないか。

・愛知県の生化学研究所に最先端の機能を持つfMRIがある。そこの先生方が我々の営みに関心を持っていてくれている。学術的手順を踏んだ計測、実験が出来れば科学的な論文が書ける実験になる。是非やってみたいと思っている。

 ・同じ仮説をもって我々側では現場で実験をやってみる、それによって制約のない条件のない本当の消費者行動、従業員の行動、あるいは脳の中が変わっていく事とブリッジを架けられたら面白いだろう。

 ・コーラとペプシのブラインドテストではペプシの方が美味しいと感じるが、ペプシはコーラの売り上げを抜けない。コカ・コーラだと聞いて飲むと美味しいという以外の脳の部位も活発になる。その部位とはおおよそ前頭前野。単に味が美味しいという以外の事が無意識レベルで想起されている。ペプシと聞いてもコーラと同じ部位が活発にはならなかった。 ブランドロイヤリティーはおそらく前頭前野が関係しているという事は示唆される。

 ・論文にはなっていないロイヤリティーの実験結果だが、fMRIに入ってハーレーダビッドソンやフェラーリー等のブランドロイヤリティーが高いとされるものとロイヤリティーのなさそうなものと教会やマザーテレサなどの写真を混ぜて被験者に見せると、ロイヤリティーの高いものを見たときと教会やマザーテレサを見たときとよく似たパターンの脳活動が見られる。ブランドロイヤリティーと信仰は近いのではないか。我々はすでに、そういう仮説に基づいて行っているのだから我々にとっては、もっともな事でもある。

 

 

    フリーディスカッション「ツイッターと感性」

    杉山淳氏からの話題提供

 ・ツイッターとは140文字でのつぶやきを書き込める。

・フォローとフォロワーという関係があり、興味のある相手をフォローしたりフォローしかえしたりの関係。

・ブログの小さい番だろうという解釈が多かったが、総合的な解釈としては速報性がある口コミメディアであろう。

・例えば朝刊に載るような記事であっても情報元をフォローしていれば情報はいち早く手に入る。

・どの程度の規模があるか。

・世界中でフォロワーが一番多い人は400万人以上。日本では50万人。日本で2番目にフォロワーが多いのは仮想の人物で「ガチャピン」が35万人のフォロワーがいる。

・オバマが政治的利用で始めたのをきっかけに日本の政治家も始めて鳩山首相もやっている。

・ある一定の属性があれば世論調査などは一瞬で出来てしまう。

・ソーシャルフィルタリングとして使っている人もいる。

・属性が同じ人が繋がればQ&Aにもなる。

・現時点でこういうモノだという正解は今のところ無い。

 

●フリーディスカッション

(小阪部会長)

携帯メールとの違いは?

 

(桑野氏)

ツイッターは第三者が見ることが出来る。割って入れて、その話が良ければフォローして面白い事があったら引用していける。うかつなことは言えない。発言が公のモノとして多くの人に一瞬にして行き渡ってしまう。

 

(杉山氏)

ツイッターではブログでの炎上という状況は起こりにくい。フォロー、フォロワーの関係性をやめる事が容易であるため。

  知人のコンサルタントはビジネス的見知から、ツイッター上ではごまかしは効かない。ツイッター上では純粋に評価される。人間性が表れやすい。短いつぶやきであることの積み重ねである事から人間性が伝わりやすい。本物が評価されるメディアであると繰り返し言っている。

商売目的で情報商材を売る人、ミクシーなどであしあとを付けまくり見込み客名簿集めをしていた様な人はツイッター上では相手にされない。

商売根性などが少しでもあればそれを感じ取って相手にされない。

IT上では偽りが効かなくなってきているが、ツイッターは最初から偽りが効かないメディアのようだ。

健全な使い方が出来る人間力のある人が活用やすいメディアである

見ている人はどんな要素でもって人間性を感じ取っているかは感性工学的にどうなのだろう。

 

(嶋田氏)

私にはあまり向いていない様に思う。

 

(小阪部会長)

向き不向きはあるだろう。

 

(嶋田氏)

10人ほどならタイムラインを見て入れるが、100人にもなると雪崩れ込むようになり読むのは不可能。読んでいる人はいるのでしょうか。

 

(桑野氏)

自分のは読んだことはない。

 

(嶋田氏)

フォローしている人のは読んでいますか。

 

(桑野氏)

ブログからの自動投稿にしてありタイトルだけつぶやくようにしている。

アカウントを10個程作って属性事にテーマを変えてフォローしている。

低血糖の人、足にトラブルのある人、目が悪い人などに分けフォローするので、属性事に違う悩みを拾えるようにしている。

相手を知るためにそうしている。質問などに対して、その情報がどこにあるのかを教えてあげるだけに使っていたりする。

 

(嶋田氏)

「はてな」「知恵袋」より情報が早いと勝間和代さんが言っている。

自分にはツイッターを使うに当たって目的意識がないので、どう使って良いのかが解らないし使い切れないのであまりつぶやけない。

 

(田中氏)

ツイッターが中毒になるというのはどうしてなのか。

 

(杉山氏)

勝間さんは中毒になるなと言っているが、勝間さん自身が中毒になっている。

今まで一切友達が居なかった子がツイッターで一気に100人友達が出来たと言っている。

レスポンスの早さが魅力でそのレスポンスの早さが中毒の要因なのかもしれない。

 

(嶋田氏)

いろんなはまり方があると思う。フォローが多くなったりRT(リツーイート)という引用機能に返信があった事などに楽しさを感じている人もいる。

 

(竹原氏)

脳科学的に面白い話があって、ブログを書く文体とツイッターで書いている文体が同じ自分のなのに違う。ブログを書いているときとツイッターを書いている時との使っている脳の部位が違う。ブログを書く場合、表現を気にしながら書くのに対して、ツイッターは口語的。ブログは全体を俯瞰するのに対して、ツイッターはその時、思った事をストレートに書いている。それだけに自分を隠せないのではないか。

 

(小阪部会長)

ブログかツイッターか以前に短い文字数になると人間性が隠せないというのは何故だろう。

 

(竹原氏)

手癖など、細かい事はごまかせないから人間性がそこに表れるのではないか。

 

(田中氏)

微細に神は宿るという。

 

(竹原氏)

挨拶などに、その人が現れるという事からも微細な部分から解るのでは。

ブログは文体が長いため全体を装飾する傾向にあるのではないか。

 

(嶋田氏)

ユーザビリティー的にブログは確認作業をしてアップするのに対しツイッターにはそれは無く思いとどま

る事が無い。

 

(園田氏)

ツイッターはハードルが低い、ブログは書くことを精査するのでいざ書こうと思ってもすぐには書けない。ブログ書くことに畏まっているよりもツイッターの方が気楽である事が広まってきた最初の要因。

 

(小阪部会長)

何が起こっているんだろう。

何の感性なんだろう。

繋がっているおもしろさがあるのだろうか。

 

(田中氏)

レースの後だとたくさんの人がブログを来るのでプレッシャーになっている。その一方で、多くのブロガーは訪問者がいない。見られる事への一種の自己表現なのではないか。ブログの効用とは自分の事を客観的に見れるという事と多くの人に見られる事が前提なのでネガティブな事も最後はポジティブにしようとする。

 

(小阪部会長)

外化の効果と同じであろう。

 

(嶋田氏)

ブログは劇場的。注目を集められる欲求を満たせる。

 

(田中氏)

毎日ブログを書くと、何も無い日が無くなる。なんでも無いことでも毎日トピックスを見つけるから。

 

(小阪部会長)

メルマガ、ブログ、ツイッターと発信者も受信者も増えていくと情報の洪水になるので結局は誰も受信しなくなる。

神田昌典氏はIT社会の神髄が現れると言っている。彼は全脳思考の中で指名検索、これだけ発信情報が増えてくると発信情報を受けて判断する事が出来なくなる。結局は常に検索に行くだけになる。だとしたら、誰が何故検索されるんだろう。

今、一番美味い店を探そうといった時に思い浮かぶのは検索エンジン。しかし、そこにはロイヤリティーは無い。ロイヤリティーがあれば、直接検索される。最後は人間力なのかもしれない。

 

 

 

                               議事録作成 虎島秀一

 

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